自己都合で退職した場合、通常3ヶ月の待機期間があるので、失業手当を貰えるのは手続きしてから約4ヶ月目です。
自己都合だから当然とも言えますが、手持ちの貯金が少ないと心細くなります。
自己都合でもハローワークに「やむを得ない理由で退職した」と判断されると、給付制限がなくなる「特定理由離職者」となります。
今回は特定理由離職者となる条件を中心について見ていきます。
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「特定理由離職者」と「異議申立て」は違うの?
「離職票の退職理由が自己都合になっている…異議申し立てして会社都合にするには」では、会社から受け取った離職票に書かれている退職理由にたいしてハローワークに異議申立てをする場合について説明しました。
異議申立ての場合、認められれば会社都合での退職となり、給付制限はなくなります。
しかし、証拠を揃えたり、元の職場の同僚に協力を仰いだりと手続きを踏むにはかなりハードルは高いと言わざるを得ません。
しかも、準備を入念に行い手続きしてみたものの、思いのほかあっさりと異議申立てが退けられることも珍しくありません。
食い下がって労働裁判所で争うこともできますが、裁判を行うとなると長期化しますし、費用もかかります。さらに再就職先を探さないと行けないのに、大切な時間を異議申立てに費やしていては本末転倒とも言えます。
そこで知っておきたいのが、「特定理由離職者」です。
「特定理由離職者」とは
「特定理由離職者」は平成21年の法改正で創設されました。
「特定理由離職者」は離職者区分の一つで、基本的には自己都合であるものの「やむを得ない理由で退職した人」を指します。
「特定理由離職者」と認められると以下のメリットが有ります
– 給付制限がなくなる
– 失業手当の受給資格は通常、被保険者期間が2年間に12ヶ月以上必要だが、1年間に6ヶ月以上に短縮される
これだけ見ると会社都合で退職した人と変わりませんが、異なる部分も当然有ります。
会社都合退職との違いは、「所定給付日数の優遇はない」ということです。
ただし、雇止めされた非正規労働者(契約更新拒否されて退職に至った場合、会社都合同様の給付日数となります。(この特例は平成26年3月末日で終了)
「特定理由離職者」と認められる条件
特定理由離職者と認められるには下記の要件をクリアする必要があります。
- 期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことにより離職した者(その者が当該更新を希望したにもかかわらず、当該更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。)(上記「特定受給資格者の範囲」の2.の(7)又は(8)に該当する場合を除く。)(※補足1)
- 以下の正当な理由のある自己都合により離職した者(※補足2)
(1) 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
(2) 妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた者
(3) 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の介護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者
(4) 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者
(5) 次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
(a) 結婚に伴う住所の変更
(b) 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
(c) 事業所の通勤困難な地への移転
(d) 自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
(e) 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
(f) 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
(g) 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
(6) その他、上記「特定受給資格者の範囲」の2.の(10)に該当しない企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等
※補足1 労働契約において、契約更新条項が「契約の更新をする場合がある」とされている場合など、契約の更新について明示はあるが契約更新の確認まではない場合がこの基準に該当します。
※補足2 給付制限を行う場合の「正当な理由」に係る認定基準と同様に判断されます。
どれか一つだけでも該当すれば、給付制限だけはなくなります。
給付制限が無いだけでもかなり余裕ができますよね。
該当しそうならハローワークで「該当するのではないか?」とアピールしてみるべきです。