退職したら通常はすぐにハローワークへ出向いて、失業手当をもらえるように手続きを行うという方がほとんどだと思います。
しかし、自己都合で退職した場合は当然ですが3カ月の給付制限が付きます。
また、人によってはあと数カ月で雇用保険の被保険者期間が10年や20年に達するという方もいるのではないでしょうか。
そのような場合、すぐに受給手続をしてしまうよりも契約期間の定まったアルバイトで働くことで、被保険者期間を伸ばし給付日数を増やしたほうが得になることも。
今回は、退職後に雇用保険の被保険者期間や給付の条件をしっかり確認し、働くことで給付日数を増やせる場合もあるということを見ていきます。
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自己都合退職から短期契約労働で会社都合に
長年働いてきた会社を自己都合で退職した場合、当然ですが3カ月の給付制限が課されます。
通常はここで失業手当の受給手続きを行い、転職活動を行いながら給付制限が開けるのを待ちます。
しかし、ここで契約期間の定まった短期間のアルバイトを行うとどうなるでしょうか。
ハローワークでは直近の離職票で判断するため、離職票に「契約期間満了」と書かれていれば会社都合退職であると判断されます。
会社都合であれば給付制限はありませんし、被保険者期間によっては失業手当の給付日数は大きく変わります。
- 一般受給資格者(自己都合、定年退職、懲戒解雇で退職した人)
被保険者期間 10年未満 10年以上20年未満 20年以上 年齢制限なし 90日 120日 150日 - 特定受給資格者(会社都合(倒産や解雇などで退職した人))
被保険者期間 1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上 30歳未満 90日 90日 120日 180日 - 30歳以上35歳未満 90日 90日 180日 210日 240日 35歳以上45歳未満 90日 90日 180日 240日 270日 45歳以上60歳未満 90日 180日 240日 270日 330日 60歳以上65歳未満 90日 150日 180日 210日 240日
注意点:失業手当の基本日額は直近6カ月の平均給与
自己都合退職が契約期間の定まった短期労働で会社都合変わるのであれば随分と条件が良くなるように思えますが、ここで思い出しておきたいのは失業手当の「基本日額は在職中の直近6カ月の平均給与から算出」すると言うことです。
一般的には、非正規雇用の場合、正社員と比較すると給与水準が低い傾向にあります。
失業手当の基本日額は「在職中の直近6カ月の平均給与」であることを考えると、短期労働期間中の低い給与が基本手当日額を引き下げてしまうことを頭に入れておかなければなりません。
したがって、正社員で働いていた時の給与(残業代などを含めた総支給額)が高い人は、給付制限を課せられても短期労働をせずにそのまま失業手当をもらったほうがもらえる失業手当は多いというケースも多々あります。
また、2~3カ月でやめるつもりだった短期就労先ですが、勤務先から契約延長された場合の事も考えておかなければなりません。
契約延長のオファーを断りアルバイトを辞められれば良いですが、ここで相手の意志に流されてアルバイトを続けてしまえば、正社員時代の基本手当日額は使えなくなってしまいますし、転職活動も満足にできなくなってしまうことも考えられます。
それでも働いたほうが良いケースもある
ここまでの説明ではあまり短期契約のアルバイトを行うことはメリットが内容にも思えます。
しかし、被保険者期間の区分ががあともう少しで変わる場合は短期契約で働いたほうが良い場合もあります。
上に掲出した表を見てみると、自己都合の場合、被保険者期間が10年以上、20年以上となれば、30日失業手当の給付日数が増加します。
仮に、退職した時の被保険者期間が9年10ヶ月や19年9カ月だった場合、そのまま受給手続を行うよりも2~3カ月間働くことで基本手当日額が減ってしまうものの給付日数が30日分増えます。
正社員時代の給与水準とアルバイト代にもよりますが、トータルの給付額で見てみると、アルバイト行ったほうがオトクな場合もあります。
アルバイトを行う場合の注意点
机上の計算ではアルバイトを行ったほうが良いと結論が出た場合でも、注意しなければならない点があります。
それは、アルバイト先が雇用保険に加入してくれない場合です。
雇用保険に入れてもらえなければそもそも今回の方法は使えません。
したがって、応募する前に電話などで雇用保険の加入の有無について確認したほうがよいでしょう。
※ 平成22年4月の雇用保険法改正によってアルバイトや短期の派遣労働でも以前より雇用保険に加入しやすくなりました。
※2 短期での派遣労働を行った場合、派遣会社と労働者どちらから契約更新を拒否したかを記入する項目が追加されたことも留意しておいたほうがよいでしょう。つまり、労働者側から派遣延長を拒否した場合は給付制限を課せられる可能性が高くなっています。