退職、再就職は人それぞれで、様々なケースがあります。
もらえるものならしっかり失業手当をもらいたいという方もいると思いますが、一方で休んでなんて居られない、今すぐにでも働きたいという方も少なくありません。
大半のケースでは失業手当をもらったほうが金銭的なメリットが大きいのですが、条件によっては失業手当をもらわずにすぐに再就職したほうが良い場合もあります。
今回は、失業手当をもらわずに再就職したほうが良いケースについて見ていきます。
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今回のケース:長期間勤めた会社を自己都合退職した場合
19年5カ月の勤めた会社を自己都合で退職し、ハローワークで失業手当の手続きをし、求職活動をしていたところ、待機期間の7日間に面接をした企業から内定を貰い、給付制限期間中に再就職しました。
この場合、失業手当は一円ももらえません。
新たな職場で働き始めたものの、これまでとは勝手の違う職場に慣れず、やむなく半年持たず在職5カ月で退職してしまいました。
在職5カ月で退職した場合、失業手当もらえるのでしょうか。
今回のケースでは、再就職先をやめた後ハローワークで失業手当の手続きを行うことで前回(19年5カ月勤務した職場を)退職した際に手続きしもらわなかった分の失業手当をもらうことが可能です。
再就職をし一旦受給資格を失ったとしても、前回の退職から1年の受給期間内に失業したのであれば、受給期間内の受給権は有効です。
でも、このまま手当をもらうのはもったいないかもしれません
前回の退職分が有効なら随分お得、棚からぼた餅のように感じるかもしれませんが、すこし工夫をするだけでさらに総受給額が増える可能性は高まります。
思い出しておきたいのは、前回の退職と今回の退職で被保険者期間は合算すると19年10カ月になったということ。
そして、給付日数は被保険者期間が10年、20年の区分を超えると30日増えるということを忘れてはいけません。
下記の表は自己都合での給付日数です。
被保険者期間 | 10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|---|
年齢制限なし | 90日 | 120日 | 150日 |
ここで失業手当をもらうと、19年10カ月分の被保険者期間分、つまり基本手当の給付日数は120日分となってしまいます。
さらに、失業手当を1円でも貰えば被保険者期間はリセットされ、ゼロからのスタートになります。
もうあと2カ月ちょっと働くだけで給付日数は30日増えるので、今回あえて失業手当を受け取らずに再々就職先を見つけ働いたたほうが有利になる可能性があるというわけです。
失業手当を受け取らずに1年以内に再々就職先を退職すると…
19年10カ月まで加入した被保険者期間で失業手当を受け取ってしまえば給付日数は120日ですが、再々就職先を速やかに見つけ被保険者期間を20年を超えたところで退職すると、失業手当の給付日数は150日になります。
この再々就職先、結果的に良い職場であればそのまま働き続ければ良いと思いますが、時間をしっかりかけて給与やその他の条件、職場環境の良い職場を見つけたいのであれば、再々就職先をやめてからでも良いのではないでしょうか。
150日の給付日数を使い時間をじっくりかけて職場を探し、自分のこれまでの経験を活かせる職場を見つけたほうが結果的に満足できる転職活動となる可能性は高いのではないでしょうか。
また、失業手当の給付期間中にこれまでのキャリアの棚卸しをしたり、不足した知識などを補ったりすることも大切な準備だと思います。
注意点1:頻繁に転々と職を替えると失業手当が支給停止になることも
今回のケースでは、被保険者期間が20年を超えるよう失業手当を受け取らずに再就職を繰り返してきました。
あまりこのような目立つ行為を繰り返していると、ハローワークから「職を転々とし、職場に定着する気がみられない」と判断される可能性があります。
もし、このように求職に積極性が見られないと判断されると失業手当が支給停止となる可能性もないとは言えませんので注意が必要です。
注意点2:支給日数と基本手当日額をしっかり把握しておくこと
また、不本意ながら退職してしまった再就職先と、再々就職先の給与水準にも注意しておきたいところです。
転職すると給与水準が下がってしまうのは珍しいことではありません。
再々就職先の内定が出た時点である程度どのくらい失業手当がもらえるのか計算しておいたほうがよいでしょう。
基本手当日額が直近6カ月の平均給与から算出します。
二回目の退職時であれば、最初の職場の1カ月と二回目の職場の5カ月分で基本手当日額が計算されます。この場合の給付日数は120日です。
150日分の失業手当を貰う場合は、二回目の職場4カ月分と3回めの職場2カ月分です。3回めの職場の給与がこれまでよりも悪く、しかも勤務期間が長引けば基本手当日額の条件が悪くなってしまうことも考えられます。
しかし、多くの場合は150日分もらったほうが得する可能性は高いのではないでしょうか。
基本手当日額の上限は決まっています。今回の場合20年弱の被保険者期間であると考えうると以下のどちらかの表に該当するのではないでしょうか。
30歳以上45歳の賃金日額と失業手当賃金日額
賃金日額 | 給付率 | 基本手当日額 |
---|---|---|
2300円~4600円 | 80% | 1840円~3679円 |
4600円~11650円 | 80~50% | 3680円~5825円※ |
11650円~14200円 | 50% | 5825円~7100円 |
14200円以上 | - | 7100円(上限額) |
45歳以上60歳の賃金日額と失業手当賃金日額
賃金日額 | 給付率 | 基本手当日額 |
---|---|---|
2300円~4600円 | 80% | 1840円~3679円 |
4600円~11650円 | 80~50% | 3680円~5825円※ |
11650円~15610円 | 50% | 5825円~7805円 |
15610円以上 | - | 7805円(上限額) |
今回のまとめ
通常は手続きしてそのままもらう失業手当ですが、「あえて今もらわない」という選択があることがわかりました。
10年弱や20年弱の雇用保険の被保険者期間がある場合、もう少し働くことで受給日数の30日増やすことが可能であることもわかりました。
しかし、この方法を使った場合、再々就職先を退職した時、改めて3カ月の給付制限が課されます。
この給付制限の対策はまた次回見てみようと思います。