バブル崩壊以降「失われた20年」と言われ、増え続けた失業者。
それに対応するために失業給付を抑制する政策がとられていましたが、2008年9月に起きたリーマンショックをきっかけに雇用保険制度は大きく舵を切りました。
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リーマンショックで起きたこと
リーマンショックによって世界的に不況となり、日本も大きく影響を受けました。
その余波を受け、日本国内の金融、不動産業はもちろんですが、景気の悪化により自動車や電機などの製造業も打撃を受けました。
その結果、設備投資の抑制、需要減による工場の稼働率の低下の受け、切りやすい期間労働者や派遣社員、「偽装請け負い」といった非正規労働者の「雇い止め」「派遣切り」が多くの企業で行われました。彼らの中には、雇用保険に加入していない労働者も。契約を切られた途端、明日からの生活をどうすればいいのか、路頭に迷う姿がクローズアップされました。
「年越し派遣村」の光景はまだ記憶に新しいのではないでしょうか。
平成21年以降の雇用保険
雇用環境の急激な悪化により浮き彫りとなった非正規労働者の社会保障の実態。
そのような状況を改善するため、平成21年の法改正では、雇用保険の加入資格をそれまでの「1年以上雇用見込み」から「6カ月以上の雇用見込み」に変更。(対象は、所定労働時間が週に20時間以上の労働者)
これによって、短い契約期間の非正規労働者も加入しやすくなりました。
しかし、それだけではさらに短い契約、3カ月契約にするなどの方法で加入しなくて済む抜け道がありました。
平成22年の法改正
平成22年の法改正ではさらに条件を厳しくし雇用保険の加入促進がなされました。
雇用保険の加入資格を平成21年の改正された「6カ月以上の雇用見込み」から「31日以上の雇用見込み」に改正。(所定労働時間が週に20時間以上の労働者という要件は変更なし)
この「31日以上の雇用見込み」の”雇用見込み”とは雇用契約上、31日未満の場合も、31日未満で雇い止めすることが雇用契約書などに明示されていない限り、加入義務が生じると言うものです。つまり、日雇いなどを除きほとんどの労働者が雇用保険に加入できることとなりました。
この法改正によって非正規労働者は雇用保険に加入できない/加入しにくいという制度上の問題点が解消されました。
もう一点、雇用保険料を給与から天引きしているのに、事業主が加入手続きを怠っていた場合も、2年を超えてさかのぼり雇用保険を適用できる改正も行われました。(以前は、最長で2年までしかさかのぼれませんでした)